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【レビュー】バラエティに富んだ臭気表現、特異な文体に大混乱! でも、突然ハイになれる瞬間があるから我慢して読み続ける価値あり【『族長の秋』(ガルシア=マルケス)】

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猫町倶楽部文学サロンの課題図書『族長の秋』(ガルシア=マルケス)を読了。

ノーベル文学賞を受賞したらしい作品、という事前情報だけで読みはじめました。当惑→怒り→無力感→嫌悪感→開放感→無常感→共感と、想定外のいろんな感情を体験できたなあ。

前半の当惑→怒り→無力感→嫌悪感までは、作者へ対してのものです。

場面が切り替わるごとに、しばらく読み進めないと、何の話をしているのかサッパリわからないという、映画の冒頭のような描写からスタートするので、相当迷います。

しかも、表現が大げさで、レトリックなのか現実なのか判別がつかず、頭に「?」をたくさん引っかけながら読むはめになるので、最初はかなり辛いです。作者への怒りが湧いてきます。

そのうえ、ワンセンテンスに、地の文、会話文、一人称二人称三人称までギュウギュウに押し込むという、ライトなエンタメ小説に慣れた身には混乱必須の超ヘビーな文体についていけず、自分は馬鹿なのだろうと落ち込みます。

唯一心をつついてくるのは、やたらと臭気にこだわる妙な表現。生理的な嫌悪感が生まれます。

だけど、途中から、麻薬みたいに効いてきた! 文体と描写のルールを『乗りこなせる』ようになるまでに全体の半分くらい必要とするけど、そこを乗りこえるとストンと作中に入りこめる瞬間がくる! 読み辛くってストレスたまりまくっているところに、突然現れるランナーズハイのような開放感!

ここからようやく、猜疑心、羞恥心なんかが細かく折りこんである、独裁者の孤独な感情に寄り添えるようになってきます。作者ガルシア=マルケスが、コロンビアのジャーナリストだったこと、書き上げるまでに8年もかかったのも納得。こりゃー、民主主義経済ネイティブには書けないわ。

むちゃくちゃ面白かったけど、誰かに勧めたいか……というと、思い浮かぶのは5人以下。読むことに『エンタメ性』と『実用性』を求めてる人はストレス溜まるのでやめたほうがいい。読後感がはっきり分かれる作品じゃないかなあ。正直いって、課題図書じゃなかったら、読了するのは無理だったと思う。我慢して読んだ甲斐があった。

最後の最後まで、「脳みそのどの部分で考えたら、そんな表現になるんだ!」ってくらい臭いの表現がキテレツなので、そこだけ抜粋して楽しむのもいいかもしれません。

午前1時にようやく晩御飯。

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